横浜地方裁判所川崎支部 昭和62年(わ)253号 判決 1987年11月18日
主文
被告人を罰金三万円に処する。
右罰金を完納することができないときは金二〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、大韓民国国籍を有する外国人で、川崎市川崎区池上町《番地省略》に居住しているものであるが、昭和六〇年五月九日、同区鋼管通二丁目三番七号所在の川崎区役所田島支所において、前記居住地所轄の同区長に対し、外国人登録法七条一項に基づく登録証明書の再交付の申請をするに際し、外国人登録原票、外国人登録証明書及び外国人指紋原紙に指紋を押なつしなかったものである。
(証拠の標目)《省略》
(法令の適用)
一 罰条 包括して外国人登録法一八条一項八号、一四条一項
一 刑種の選択 罰金刑
一 換刑処分 刑法一八条
(量刑の理由)
被告人の本件犯行は、その罪質・態様等に照らすと、決して軽微とはいいえず、また現行の外国人登録法の指紋押なつ拒否の罪の法定刑(一年以下の懲役もしくは禁錮又は二〇万円以下の罰金)をも勘案すると、被告人に対する略式命令の罰金額が五万円となったことはやむを得なかったとは思料されるが、その後に至り外国人登録法は、被告人のように以前に指紋押なつをしたことのある者については、原則として再度の指紋押なつが義務化されない旨に改正されており(昭和六二年法律第一〇二号)、右改正法は未だ施行されていないものの、右改正の経緯、右改正法の趣旨等にも照らし、主文掲記の罰金刑にとどめることとした(求刑・罰金五万円)。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 奥田保)